【フラット35】進捗停止時の銀行の対応

2021年7月、フラット35の審査が一部の方にとても厳しくなりました。今回、取材にご協力してくださったのは、審査方法を変更されてしまったことによって承認を得られなかった20代男性(Kさん)です。

ことの発端は、2021年アルヒ川口店の住宅ローンの申請人(複数)が承認後すぐに勤務先を辞めてしまったことによって引き起こされます。このようなことが相次いで発生したためアルヒ川口店はフラット35の不正利用に関与していたとして原因追求され、同店は6月25日をもって新規受付を中止しています。しかし、それだけでは済まず、同時期に新宿店でローンを申込んでいたKさんにまで川口店の影響が及ぶこととなってしまいました。

担当者から審査基準を変更すると告げられる

「住宅金融支援機構の方から、審査基準を変更するようにと言われてしまいましたので、お伝えしていたよりも審査期間が長くなる可能性があります」7月8日アルヒから突然連絡がきたとKさんはいいます。理由を聞いてみると、「川口店の件があり、昨年転職したKさんの審査を厳しくする」と告げられたのです。確かに昨年転職はしているものの、申込時点では1年3ヶ月働いていたためもっと勤続の浅い人はいるのではないかと疑問に思ったとKさんはいいます。また、「昨年転職した申込人全員の審査を厳しくしたのか」とアルヒに確認すると「たまたま選ばれた」と詳しくは語られなかったとのことでした。

Kさんは6月24日申込していたので、申込から約2週間後の出来事でした。

アルヒからの追加質問

その後、審査が厳しくなったせいなのか追加でアルヒから質問を受けたKさん。しかし、その内容は客観的に考えてローン申請人にするべき質問とは思えないものが含まれていました。Kさんへの質問は以下の4点です。

1,頭金を証明すること。
2,前年度の年収が増えている事の理由を説明すること。
3,特殊な工事はあるか説明すること(Kさんは外構工事なども計画していました)。
4,物件が高額でないか。

1番2番の質問は金融機関の審査の上で必要なものと思われますが、3番4番については審査とは思えないものばかりです。後日、Kさんは、「3番目の特殊な工事とは誰が決めるのか」、「4番目の物件が高いとは僕(Kさん)にとってなのか周辺相場と比べてなのかどちらなのか」とアルヒ本部にあるFC事業推進部の瀧○さんに問いかけると、「どちらも審査内容については答えられない」と言われてしまったとのことでした。これでは会話になりません。しかし、返事をしなければ審査は進まないので、とりあえず全ての質問にメールにて回答を行い、電話でもメールを確認するよう伝えたとのことでした。

しかし、質問に回答してから5日後、アルヒの担当者からメールが届いていないと連絡がきます。担当者の仕事ぶりにやるせなさを感じながらもすぐにメールを再送するKさん。その時の心境について、「担当者さんも頑張ってくれているのだから文句は言わずに耐えぬこう」と考えていたそうです。しかし既に7月中旬となっており、融資特約の期日は7月の下旬であったため、急いで他行にも打診をかけたといいます。

再度追加で質問がくる

7月21日、アルヒの言い分では住宅支援機構より追加質問が6点送られてきたとのことでした。審査に時間がかかっているとはいえ、多少は進めてくれていると信じていたKさん。しかし、追加の質問内容はまた訳のわからないものばかりでした。Kさんへの質問は以下の6点です。

1,通帳の最初のページと最後のページを別々の写真で撮り直すことはできるか。
2,令和元年の源泉徴収票はあるか。
3,令和元年の源泉徴収票に複数の企業名が記載されているが今後も転職するのではないか。
4,毎月引き落とされているのは借金ではないのか。
5,源泉徴収票の金額を偽っていないか。
6,勤務先はIT関係ではないのに、IT関係の会社が入る健康保険組合に加入しているのはなぜか。

審査を厳しくすると言われて2週間経過しても表面的な質問ばかりだったため、今回ばかりは言い掛かりにしか考えられなかったとKさんは言います。不満を抑えながらアルヒの担当者に尋ねると、「住宅支援機構は取り扱い件数が多い為時間がかかる」と説明されただけで何も解決はできなかったとのことでした。

また、Kさんはこのタイミングで筆者に相談に来られました。このままでは話が進まないと感じ相談に来ていただいたといいます。そこで、まずはKさんにアルヒへ問い合わせを行ってもらいました。問い合わせ内容はKさんの現状確認です。するとアルヒは「進捗停止という状況になっており、いつもは機械が申請を読み込んでいるが、今回は住宅支援機構の職員が審査している為長引いている」と説明されました。

筆者は、「当初の説明では審査基準が変更したと話していたのに、後日確認したら審査員が機械から人に変更したと説明されており、発言に整合制がみられないところなど担当者は既にやる気を失っているので他の金融機関で話を進めた方がいい」とKさんに提案を行いました。また、進捗停止になった方でローン承認を得られる方はほぼいないことも伝え、最終的に民間の金融機関でローンを通すこととなりました。(Kさんがローン承認されるまでをまとめた記事はコチラ

新しく民間の住宅ローンも申請しつつ、アルヒの追加質問にも回答を行なったKさんですが、先ほどの6点の質問のうち1番3番4番5番は嫌がらせのような内容だったため怒りすら覚えたといいます。Kさんは、通帳の名義と最終残高をまとめて1枚の写真で送っていたものを取り直すよう指示されたため、「通帳の残高が名義人のものとどのようにして証明するのか」と質問されたとのことでした(もちろんアルヒは答えませんでしたが)。
客観的に考えても、転職を疑われたり、フィットネスジムの会費に対して借金だろうと疑ったり、源泉徴収票を偽っていると意見するような企業に対して良い印象をもたれる方はいないでしょう。

質問を受けたその日のうちに、Kさんは質問に対して全てメールで回答し審査を急いでもらうよう担当者へ電話で伝えました。しかし7月24日、確認したにも関わらずまたメールが届いていないと言い出すアルヒの担当者。この話を聞いて筆者は呆れてしまいました。ちなみにアルヒの担当者は「課長代理」という役職です。

審査結果

担当者の対応から2週間弱経った8月5日、Kさんは「収入の安定性と継続性」が問題でローンは通らなかったと返答されてしまいました。結局、去年の転勤が審査に影響を与えていたかというと疑問な結果です。担当者は「借入額は減らすことは簡単だが、増やすことはできるので借入可能額いっぱいまでローンを申込むのが良い」と説明しており、「審査が厳しい場合は借入額を調整するので安心してほしい」とも言っていたにも関わらずこの結果です。さらに、散々時間をかけて審査しておいて、「非承認と判断するための質問は何だったのか」と質問しても回答はありません(返信は避けるだろうと予想できましたが)。

また、担当者の上司にあたるFC事業推進部の瀧○さんは、「借入額の調整は申請時に書面をもって提出しないと受け付けていない」と説明され、担当者(現場)と上層部で意見の食い違いが見受けられました。後出しで色々なルールを出してくる企業だということが分かります。

理不尽な対応を受けたKさんですが、最終的にはりそな銀行の再優遇金利でローンの承認を受け、違約金などの支払いも発生することなく取引を終えることができました(契約を先延ばしすることができたため)。

最後に

今回のアルヒの対応は悲惨なものでしたが、実際のところ銀行の営業担当ができることは、本部への書類提出を急ぐことくらいです(もちろん不正を行う担当もいますが)。そんな中で、なんでもかんでも「出来る出来る」と発言する行員には気をつけた方がいいでしょう。柔軟に申請人を審査できる銀行や、申込内容に対して提案をしてくれる(借入金額減額や他プランを進める)銀行は実際少ないので、担当者に言われるがまま借入可能額いっぱいで申込書を記入するのは審査に落ちてしまうリスクが上がります。ですので、ローンについては予備知識を備えた上で申込されるのがおすすめです。事前に、基準金利や返済比率の上限、収入の計算方法を確認しておきましょう。

余談ですが、銀行員の中にはいい加減な発言をする方もいます。2021年8月4日、Kさんはスルガ銀行にも仮審査を申込まれたそうですが、海老名支店のGさんFさんに「勤続3年ない人は断っている」と告げられたそうです。ホームページに記載されている内容では「勤続年数や所得による申込制限はありません」と大々的にアピールしているにも関わらず。それをGさんFさんに伝えると、「総合的判断です」と言い直し逆ギレ気味に回答されていました。
上場企業の社員でも色々な人がおりますので、運悪くこういった行員に当たってしまった場合は別の支店に行くか他の銀行に行くしかありません。ちなみにスルガ銀行の場合、他の支店に出向いても他店舗で断られた人は受け付けないというスタンスのようです。相模原支店がこのように回答をされていました。海老名支店の行員さんの意図はよく分かりませんが、あくまでも非常に稀な事例です。

筆者は、兎にも角にも好条件で融資を組めることとなったKさんがりそな銀行と良い関係を築いていけることを祈っています。

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