【住宅ローン】15行以上否決された相談者さんがローンを承認された事例

給与所得と不動産所得、営業所得がある28歳既婚男性へのコンサル事例。

15行以上住宅ローンを否決されてしまった相談者さんがローンの承認をもらうまでお手伝いしたお話です。

期間2021.7~2021.8

ご相談者さん情報

◆ご相談者さん情報

・性別:男性・年齢:28歳・ 世帯情報:既婚、夫婦2人暮らし・勤務先:飲食店(資本金5000万円)

◆昨年確定申告情報

給与      収入264万円:所得177万万円(2020年中に転職経験あり)※1

不動産     収入203万円:所得149万

営業      収入0.7万円:所得−95万円

総合譲渡    収入342万円:所得171万円

株譲譲渡    収入55480万円:所得306万円

◆信用情報:傷なし

◆借入金額:0

◆預金(自己資金):1900万円

◆健康状態:問題なし

◆購入物件5000万円+319万工事費用

※1 雇用契約書月給28万円、2020.3入社

また、コロナ禍ということで職場は休業しており、2021年の給与は雇用契約書の金額から1.5割ほど減っていた(出勤日数が0でも支給される)。

本命のアルヒは本審査中:全書類提出申込日6月28日

 

相談内容

自己資金があるので、ご自身でフラット35のARUHIスーパーフラット(保証型)という商品を申し込んだが、いつまで経っても質問ばかりで審査が進まないということで(2021年7月下旬)相談を受けた。

ローン特約期限も迫ってしまい、一週間ほど前から他の金融機関も複数ローンを申請したがことごとく否決されてしまったという。

ここまでで否決されてしまった銀行は11行だといい、現在打診中なのはアルヒ含め2行のみとなっていた。

 

提案内容

まずは状況を確認するため、ご相談者さんにアルヒへ問い合わせを行ってもらったところ、進捗停止という状況にあることがわかった。フラット35は、通常であれば銀行が提出した書類を機械で読み込ませローン承認もしくは否決を判断させるのだが、進捗停止となってしまうと住宅支援機構の職員の目で判断されることとなる。人が審査をしても問題はなさそうだが、実際にはローンの承認がされることはまずない。

進捗停止になるとアルヒの力ではどうにもならなく、またフラット35は一度否決されてしまうと次回からも進捗停止となってしまうためアルヒは諦め他のフラットで融資を進める方が良いと説明したが、今打診しているローンは借入金額4200万円、35年固定で金利0.92%、最初の10年においては金利優遇によって0.67%という条件(2021.7金利、団信なし)であったため、アルヒはそのまま進めつつ他でもローンを進めたいとのことだった。つまり、アルヒ以外のフラット35にはあまり魅力を感じていないことがわかる。

しかし、民間の金融機関で話を進めるにあたり、借入金額が大きく下がってしまうネックもある。幸い証券を売却することによって資金の補填は可能で、かつ資金を捻出することはやぶさかではないとのことだった。自己資金は用意できるということだったので、住宅ローン選びの方針を、住宅ローン控除と借入金利のギャップを最大限取っていく選び方はどうかと提案した。つまり変動金利だ。

ご相談者さんは変動金利についての偏見なくリスクについてもスムーズに理解して頂けた。

そこでマッチする銀行を提案するため状況を伺った。直近の確定申告書を拝見すると、資産家であることが分かりプラス要件として審査してくれそうだが節税事業の所得−95万については銀行によって判断がわかれる内容となっていた。通常審査のフラット35の場合、営業マイナスについて事業を廃業することでマイナスをなかったことにすることができるが、民間の銀行の場合はどちらとも言い難い。さらに、勤務先が休業しているという稀なケースであるため、結局どこの銀行が良いか判断できず臨機応変な銀行を中心に5行提案することとした。

提案した銀行に申込を入れてもらう前に、これまでで落ちてしまった11行について話を伺うと借入希望額を4000万と設定して申込を入れていたことが分かった。殆どの銀行は返済比率がネックで否決されてしまったと予想できる。

というのも、殆どの銀行は譲渡所得については一時的な所得とみなし、借入の基準となる収入とはみてくれないので(数年実績あるトレーダーなら別だが)、ご相談者さんの場合は給与収入と不動産所得がベースになる。となると、給与収入264万円+不動産所得149万で413万円が基準の年収となる。そこから返済比率の上限を35%として借入時の基準金利を3%と仮定して計算すると、せいぜい変動金利で借りられるのは3100万円だ。

そのことをご相談者さんに説明すると、借入希望金額が1000万円下がってしまうことにショックを受けつつも承諾してもらうことができた。今後の借入希望額は3000万円を基準に打診していくこととなる。

だが、この段階でローン特約期限は残り10日ほどだったため、銀行から融資の承認をもらうには時間が足りない。そこで、売主さんへ事情を説明し期限を1.5ヶ月延長してもらった。決済日は9月末だ。

提案した5行はの申込内容は以下の通り。

イオン銀行

ネット銀行系で比較的自由に相談可能なため、銀行には減額交渉可能と伝え申込。

申込金額3500万円、期間35年

中央労働金庫

審査金利と返済比率が甘めなため、少し強気に申込。

申込金額3500万円、期間35年

三井住友銀行

当行と提携した不動産会社でないと審査の時間は長いが一番柔軟に対応してくれる銀行。減額承認可能と伝え申込。

申込金額3500万円、期間35年

横浜銀行

こちらも柔軟に対応してくれる銀行。融資に対しても積極的な営業さんが多い。減額承認可能と伝え申込。

申込金額4400万円、期間35年

りそな銀行

申込前に窓口で確定申告書類を3期分渡し行員さんに借入可能額を計算してもらい、その上限金額で申込。

申込金額2900万円、期間35年

 

審査結果

イオン銀行

→非承認

返答まで1週間。勤務先の休業がネック。

中央労働金庫

→非承認

返答まで1週間。理由不明。

三井住友銀行

→仮審査承認(りそな銀行の本承認がおりたので辞退)

仮審査承認まで1ヶ月。条件:借入金額3000万円、変動金利0.525%

横浜銀行

→非承認

返答まで1ヶ月。理由不明。

りそな銀行

→承認

承認まで1ヶ月強。条件:借入金額2900万円、変動金利0.47%(最大優遇)

という結果だった。りそな銀行の本承認がおりたのは8月30日だったので、すぐにローン契約の手続きへ進むことで無事引渡し日に決済できることとなった。

ちなみに、進捗停止となったアルヒは8月5日に「収入の安定性と継続性」が問題でローンは承認されなかったと返答した。アルヒには、収入に対する借入金額が問題なのではないかと散々問合せし、その度に営業担当が「収入関係は問題ない」と断言していたにも関わらずだ。

 

最後に

側からみると理不尽にも思える状況にもかかわらず、諦めず様々な敏速に銀行へ書類を提出されたご相談者さんの努力があったからこそ住宅ローンを引けたと考えています。

今回の事例は一般の会社員の方にはあまり参考とならないかもしれませんが、個人事業主の方やフラット35で進捗停止となってしまった方が少しでも役に立てばと考え執筆しました。

実際問題、ローンの審査で銀行の営業担当者のできることというのはかなり少ないです。窓口で営業担当さんが「問題ない」と発言しても落ちてしまうことは珍しくありません。給与所得者以外の方は銀行の審査項目が細かくなりがちなので、事前にローンに対する知識を入れておくことをお勧めします。

 

ご相談者さんが今回陥ってしまったフラット35の「進捗停止」についてはコチラの記事でご紹介します。

不動泉では、不動産取引にまつわるあらゆるご相談にのりますのでご連絡くださいませ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

前の記事

町田市 宅地 価格交渉事例