なぜ増える!?不動産投資の勧誘

近年、不動産投資の勧誘が増え続けています。

実際、会社に勤めると突然知らない番号から営業の電話がきたという経験のある方は多いですし、街で元気な若者が「名刺交換をしてください!」や「アンケートを行っています!」と声を出している様子が目につきます。

不動産投資の営業会社に勤めると、新人は地道な手法で営業活動を行うことが多いので、春の風物詩ともいえるかもしれません。

若い子が頑張っていると思い、つい話を聞いてしまう方や、しつこいのでしょうがなく話を聞いてしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、なぜこんなにも必死に営業活動を行うのか、その理由をお話しできればと思います。

※社内の仕事仲間や知人に不動産投資の会社を紹介さられたという方にもお読みいただきたく思います。

不動産投資の実態

大前提として、探してもいないのに提案された物件の中で良い物件はありません。

これはある意味偏見ですが、良い物件は不動産業者や仕入れに力を入れている投資家が購入します。ですので、自ら不動産を探さない限り良い物件には巡り会えないとして認識しておいてください。

その理由をざっくりとご説明いたします。

一般人は良い投資物件に巡り会えない?

不動産を探していないのに良い物件が巡ってくるパターンは基本的に2パターンしかありません。

  • 相続
  • 親戚もしくは隣接する土地所有者が売却案を持ちかけてくる

つまるところ、親族の不動産以外ですと、お隣さんが資金的に緊迫した状況となってしまい泣く泣く不動産を売却するといったケースしかチャンスはないのです。

図 1 法務省 「登記統計」データより作成 都道府県別土地の登記数 (2018年データ)

なぜ隣接する土地の所有者なのかといいますと、一つの土地が大きくなることで資産価値が上がるからです。基本的に土地は大きければ大きいほど価値が高くなります(都市部は特に)。その理由は、都市部に行けば行くほど地価は高くなり、土地の権利も細かく分かれていることが多い(図1)ので、まとまった土地が少ない現状であることと、小さな土地よりも大きな土地の方が建築的な側面で利便性が良いということが挙げられます(建てる時も利用する時も)。それら二つの観点、希少価値と利用価値が高くなることで地価が上がるのです。なので、お隣さんも「高値で購入して欲しい」と思うはずなので、自分の親族が購入しなかった場合は近隣の方に話を持ちかけることは珍しくありません。

ちなみに、かの六本木ヒルズは建築するための土地を集めるのに20年かかったといわれています。業界では「地上げ」といわれており、専門に仕事として土地集めをしている方もいらっしゃる程です。

そういった事例からも、土地はできるだけ大きくした方が良く、滅多にありませんがお隣さんからの売却案件はチャンスだと分かると思います(もちろん契約内容によります)。

余談ですが、地方の場合、ちょうど戸建てが建つ程の広さの土地を持っていた方が、隣の土地を取得したことで坪単価が下がってしまったことがあります。その理由は、土地の余っているような地方において、大きな土地よりもマイホームを建設できる位の広さの土地の方が、管理しやすくコストも低くいため需要があるのです。地方の不動産業者が、土地や戸建てを分譲販売している様子を見たことはあると思います。理由は単純で、大きな土地のまま売り出すよりも、分譲して販売した方が高値で売ることができるからです。

結論

さて、これまで記述した内容では、自分で探さなければ良い物件とは巡り会えないことを説明しましたが、ほとんどの営業マンは「この物件は良い、逃したら買えなくなる」と言いながら買えそうな人には手当たり次第営業します。なぜ、ここで述べた理論と営業マンの行動・発言に違いがあるのでしょうか。

その理由は、世の中には星の数ほど不動産の売り情報があり、その中で物件の優位性がないからです。会社の立場からすると、無数の売り物件の中で、自社が取り扱う物件が売れるのを待っていては仕事になりません。なので、営業活動や広告を打ち積極的に販売活動をしているのです。

もちろん、売れないものに付加価値をつけるのも営業の仕事です。しかし、不動産投資に疎い方をターゲットとし、しつこく説得するのは付加価値といえるのでしょうか。むしろ、ババを引かせることを目的として活動していると解釈できます。実際に営業マンとして仕事をすると、購入意識のある方に後押しをしているというよりも、知識の薄い方に対し商品の優位性を擦り込んでいく力を鍛えさせられます。例えば、提案の中で、不動産投資と他の投資方法を比較し物件の良し悪しが分からないように論点を置き換える手法が散見されます。具体的には、不動産の利回りと国債の利回りを比較することで不動産投資の優位性を説明したりします。この様に、投資物件として優位性がなくても、他の金融商品と比較することで提案内容を良く見せかけるのです。

実際、不動産業者や投資家はこのような物件を決して買いません。不動産賃貸「業」という目的がある以上、割高な物件では事業として成り立たないからです。

もし、不動産に関心が出てきたのでしたら、仕入れの知識が無かったとしても、ご自身で物件を探すことをお勧めします。提案を受けた物件より良い物件は必ず存在します。

物件の選び方については、下記に記載いたしました。

ちなみにですが、ゴリゴリな販売活動をしている会社の物件は、会社の利益が大きくのっていて買った瞬間に会社の利益分資産価値が下がる様なモノがほとんどです。(業界の経験上、区分マンションですと粗利で2~3割は当たり前。安く仕入れることができた場合、仕入額の倍以上の金額で販売することもありました。)

そこまで利益が乗っていると、他の売物件と比べ魅力が少ないので、営業マンは必死に販売をせざるを得ないのです。

利益率でいえば、確かに衣料品業界などの方が高いですが、金額で考えると不動産一件で数百万、数千万の利益が乗っています。しかも、自社所有の物件であれば、仮に売れなくても家賃収入が入ってきますので、ローン期間が長期であれば、売れなくても問題ないビジネススキームなのです。

ちなみに、「そんなに儲かるなら自分で不動産投資すれば良いのに」と言う方もいらっしゃいますが、家賃収入よりも不動産の売却益や仲介手数料の方が儲かるのが販売する理由です。

実際の現場では、7割型の営業マンは投資初心者なので、整合性のある提案はできません。消費者もバカではありませんので、整合性に欠けるアプローチをされても受け流す方が多くなってきていますが、馴染みのない話を自信満々の営業マンから聞いたことで乗せられてしまう方もいます。皆様お気をつけください。

また、最近は既存顧客に知人を紹介してもらう「紹介営業」をする営業マンも増えてきました。もし契約に至った場合は、紹介料を貰えるので積極的にお勧めする方がいらっしゃいます。紹介される方はお気をつけください。

ここまで不動産投資に対して否定的な意見を述べてきましたが、決して不動産投資が悪いという意味ではありません。ただ、不動産投資には良い物件も悪い物件も存在しますのでしっかりと見極めていただきたいのです。

では、どの様にすれば良い物件を見つけることができるのでしょうか。

判断基準はそれぞれですが、コチラで不動産の選び方をご紹介しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、営業を受けてもすぐに購入をしていただきたくなかったのでまとめました。

動く金額が大きいということと、頻繁な取引は行われないことから不動産取引について調べるのは消極的になってしまうこともあると思います。しかし、詐欺や不正があった時は損失が大きいので、取引には細心の注意を払って欲しいのです。

2017年6月、積水ハウスさんが架空の土地取引で55億5千万円を騙し取られた事件がありました。詳細については、様々な疑惑がございますので伏せますがプロでも騙される業界です。

まずは、しっかりと対象の物件を運用できるのか、ご自身で判断ができる様に知識を蓄えてください。知識をつけてからでも投資は決して遅くありません。

最初は、不動産投資が本当にメリットのあるものなのかご自身で調べてみるのも良いでしょう。

下記では、不動産投資をするにあたって知っておくべきメリットをまとめました。

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