プロが実践する不動産投資物件の選び方・テクニック 入門編
不動産投資と聞いて皆様はどんなことを思い浮かべますか。人によっては「マンション投資」「儲からない」「営業がしつこい」など色々なイメージが思い浮かぶと思います。しかし本来、不動産投資とはビジネスの中で難易度が低く、また再現性の高い事業スキームなので、しっかりと情報収集をすればかなりの確率で成功することができます。
ただ現在において、人口減少や高齢化に伴い不動産を購入すれば誰でも儲かるという時代は終わりました。投資家は独自に基準をつくり、購入する物件を選ばなくてはいけなくなったのです。
そして投資戦略が細分化された現代においては、投資用物件の購入基準も人それぞれです。
そこで今回、不動産投資全般でいえる物件選びに必要な分析手法をまとめました。
また、内容は投資家のレベルに合わせ3段階に分けており、後半においては玄人の方や不動産業者の方にも発見のある内容だと思います。なお、本コラムは内容が長いので2ページに分けて掲載しています。
※不動産全般に対しての内容となっているので、不動産の種類(マンション投資法・戸建投資法など)といった内容のコラムは類型別投資手法にまとめております。
目次
失敗をしないために
まずは、不動産投資の基本であり、身に付くことで強力な武器になる分析方法を5点紹介したいと思います。それぞれ重要な事柄ですので、これから投資をされる方はしっかりと身につけていただきたいと思います。
といいますのも、基本的に不動産業者のつくるシミュレーションはできが悪く、楽観的な数字を提示してきますので、ご自身で事業として成り立つのか判断できないと痛い目に合います。せっかく不動産投資に取り組んだのに、返済に追われ最後は自己破産や自殺といった暗い話は聞く側としても嫌なものです。
なので、たとえ副業だとお考えでも物件選びに労力を惜しまないでください。その苦労は決して無駄にはなりません。
・物件周辺の価格相場を確認する
・市況感を把握する
・エリアの将来性を分析する
・現地調査の実施
・家賃相場を把握する
これらの分析方法を順番にご紹介いたします。
◆物件周辺の価格相場を確認する
不動産投資を行うにあたって、自ら相場を確認することは習慣づけていただきたいと思います。不動産の販売業者は高額物件を比較対象にしてくることが多いためです。
また、自ら比較することによって相場観が養われます。そういったこともありますので、提案を受けたときや物件を探すときは、不動産価格をアットホームやスーモなどの複数サイトで販売金額をお調べください(同じ物件でもサイトによって価格が違うことがあります)。物件・土地の大きさや、さらに詳細な立地条件、構造、築年数など条件をつけて検索すると精度の高い比較ができます。また、物件価格÷土地・建物の面積をすると、面積に対する単価を導けるのでより比較し易くなります。比較できればどんな単位でも問題ございませんが、一般的に坪単位で計算されることが多いです(1坪=約3.305785㎡)。
※比較する物件の条件が近ければ近いほど正確に判断できますが、条件の近い物件をみつけられない場合は、その分を考慮して他の物件と比較する必要があります。
比較して割高な物件には、良いと思っても近づかないでください。チャンスを逃してしまうことも多々ありますが、売れなければ物件の価格は落ちてきますので待ちましょう。
様々な物件を判断できるように日頃から相場観を磨かれることをお勧めします。
アットホームはコチラからご確認できます
スーモはコチラからご確認できます
◆市況感を把握する
投資をするにあたって、相場の動きはチェックし続けなければなりません。不動産業者も投資家も相場の動きはチェックし続けています。
そして、市況感は積算価格(後に説明します)と物件を比較することで市場の動向があらわます。市場価格が役所の評価額からどの位乖離しているのか確認し、市況感を判断するのです。
不動産価格は循環するともいわれており、安い時期も高い時期もありました。例えば、直近でマンションが安かったのは2010年頃で2020年とは比べものにならない程割安でした(図1)。もちろん、そういった時期は融資が通りにくいので購入し難いということもありますが、購入できるのであれば割安に仕入れるチャンスでした。不動産価格下落の発端はリーマンショックで、この経済危機であるにも関わらず不動産を買いあさった投資家や不動産業者は少なくありません。
では、積算価格の算出方法についてですが、まずは積算価格について概要を説明いたします。
積算価格とは、市場の取引で形成された価格ではなく、国土交通省や市町村、もしくは国税庁が評価した金額を基に算出される価格のことです。国土交通省は公示価格、市町村は固定資産税評価額、国税庁は路線価を決定します。これら公的機関が決定した数字を基に土地の価格を計算し、建物の価格は建築費から築年数分価格を調整した後に土地の金額を足したものが積算価格となります。それぞれの金額にはバラツキがあり、一般的に公示価格<固定資産税評価額<路線価となっています。積算価格を低く見積もりたい場合は路線価を基準とすると良いでしょう。
こうして求められた積算価格と市場の物件を比較することで、物件の割安感が判断でき、また複数物件を比較することで市況感を理解できるのです。
公示価格は国土交通省のHPのコチラからご確認できます。
路線価は国税庁HPのコチラからご確認できます。
固定資産税評価額は各市町村で閲覧できる固定資産課税台帳から調べられます。
◆エリアの将来性を分析する
物件を選ぶ際、相場が値上がりし続けているとしても購入を諦める必要はありません。購入する物件は割安でないといけませんが、将来性が明るいのであれば地価が上がるのは当たり前なので、過去最高の市況感でも諦める理由にはなりません。本質は、投資として成り立つのかどうかが問題で、割安になるまで貯金をしながら待つ必要はないのです(周辺の物件の中では安い方が好ましい)。目的は、如何にして低リスクで資産を増やしていくかだと思いますので、エリア分析の力をつける必要があります。
そして、不動産投資はある程度のイールドギャップ(実質利回り-ローン金利)があれば行うべきだと思います。そこで重要なのは、長期的に収益を生み出せるのかどうかです。仮に物件価格が含み損になってしまっても、毎月コンスタントに収益が入ってくるのであれば我慢できるのではないでしょうか。なので、投資してから不動産市況が悪くなってしまったとしても、収益は上げられるようにリスクヘッジの意味も込めて借主の付く物件を選ぶ必要があります。
例えば、人口の増えているエリアが投資候補として有力です。ここで一都四県の人口推移(図2)を確認すると、ほとんどの県で人口が増えていることを確認できます。
また今回は一都四県のエリアで分析しましたが、人口の減っているエリアでも細かく分析すれば人口が増えていて活気あるエリアもあります。例えば、茨城県の人口は減少しているものの、つくば市の人口は増加しています(図3)。この様に、エリア分析を大きな視点と小さな視点で行うと穴場の物件にも巡り会えるでしょう。
さらに細かく賃貸需要を分析する場合は、電車の利用者数や、地域の開発計画を調べることで将来性を予想できます。電車の利用者数は鉄道会社のサイトに載っており、開発状況は市のサイトなどで閲覧できますのでお調べください。
人口推移を確認した後は、中期・長期の将来について分析します。方法は、エリアの年齢層から判断してください。高齢者が多い場合、人口推移は緩やかですが徐々に減少しますので、なるべく生産年齢の多いエリアがお勧めです。
例えば、東京の八王子市を例に挙げますと(図4)、2020年現在ベテランの40代後半の年齢層が45万人ほど生活していますが、今から20年経過すると30万人ほどまで減ってしまいます。現在40代後半の方々は、20年後も八王子で生活していると考えられはしますが、将来の賃貸需要は減少すると言わざるをえない状況です。
また物件の種類ですが、物件の種類も家族構成に寄せていく方が良いと考えるのは早計です。例えば、好きで狭い家に住んでいる人は少ないので、単身層が多いから狭い物件を買うという考えは改めてください。大きい物件にも単身層は住みますので、あくまでも総合的にご判断していただきたいと思います。
※商業用の場合はテナントによって適正な広さがございます。
話が逸れてしまいましたが、人口推移と年齢構成を調べた後は、不動産の供給量を確認します。需要が供給を上回れば、その分安定して収益を上げられると予想できます。では、次の表(図5)をみてみましょう。
例えば、人口が増え続けている東京でも、ここまで不動産の供給が増えていると今後競争率が高くなってしまうことが予想できます。
もちろん用途別に分析する必要はございますが、流れとしてはこのように投資エリアを判断していきます。人口推移と供給量の割合は、収益の安定性を図る重要な指標です。
もし供給量が需要を上回り始めた場合は、需要が二極化すると予想できますので、ハイクオリティな物件もしくはリーズナブルな物件を準備する必要があります(他には東京タワーが窓から見えるなど、武器となる特徴が必要となるでしょう)。
空室数ならびに空室率は、総務省統計局が集計した結果を「政府統計の総合窓口」にて調べられますので確認されることをお勧めします。
◆現地調査の実施
投資候補エリアに目星をつけたら、具体的に物件を探します。
物件を探すといっても、売主を自分で探す必要はありません(現段階では)。まずは、投資候補のエリアにある来店型の不動産業者に相談、もしくは実際に候補エリア周辺を歩いてみると収穫があります。自分が実際に生活したことを想定してそのエリアを観察してください。また現地調査の際は、空き店舗や空き家の数、企業・お店の数、周辺の雰囲気、開発状況などの部分を見逃さないよう注意が必要です。
もし、具体的な投資物件がお決まりでしたら、近所の方と話をするもの良いと思います。「購入を考えている」と伝えれば案外普通に会話ができます。
※地図アプリを活用すると効率よく企業数やお店の数を調べられます。
◆家賃相場を把握する
次に家賃相場を把握します。収益物件を探すと「想定利回り◯%」と宣伝された物件が目立ちますが、その利回りは現実的なものなのか判断しなければなりません。また、家賃相場が分かると、物件が空室の場合はどのくらいの家賃で貸せるのか予測できますし、周辺の古い物件を調査することで将来の賃料も予測できます。
悪質な業者の場合、「人気エリアなので家賃は下がらない」などと幻想的な発言をしてくることもありますがそれは嘘なので相手にしないようにしましょう。
家賃相場の確認方法は、不動産価格と同じ様に、インターネットサイトにアクセスし条件を揃え坪単価で比較します。家賃の場合、売り物件よりも数が多く比較しやすいので複数のサイトで検索する必要はないと思います。賃貸の坪単価を割り出せたら、自分が検討している物件は家賃いくらで貸せるのか予測できますので、シミュレーションを作ってみるのも良いでしょう。シミュレーションを作成するにあたって、家賃下落の他に、将来必要になってくる修繕費も考慮しなければなりませんので、年数が経過するごとに収益性が下がるとしてお考えください。ちなみに、一等地の区分所有建物であっても安心はできません。マンションの修繕積立金は後々値上がりしますので、やはり年を重ねるごとに収益性が下落します(図6)(図7)。結論、投資を始める際はとにかく収支の良い物件を選ぶ必要があるということです。
また、家賃相場を把握できたら収益還元法で物件価格を算出することもできます。やり方は、年間家賃÷物件の利回りです(直接還元方)。
物件購入において、収益還元法で物件を選ぶのではなく、売買坪単価を基準に決定されるのが良いと思います。その理由は、経費などを計算しない表面利回りを基準に収益還元法は計算されることが多いので、収益性の信憑性が薄いからです。もっとも、利回りの相場もあってないようなものなので本当に曖昧ですが。ただし、相場利回りは売却時の根拠に使えます。もし、運用中に周辺の不動産取引が低い利回りでも成り立った場合は、収益還元法で価格を計算し売却しても良いでしょう。利回りを調べやすいサイトのリンクを掲載いたします。
株式会社LIFULL運営サイト
まとめ
いかがでしたでしょうか。
これから投資をお考えの方は、営業マンや、自己啓発チックなことが書かれた不動産投資の書籍にのせられないでください。良い物件は偶然には巡り会えません。自分で探さなければならないのです。
はじめは物件の分析にとても労力を使うと思いますが、慣れてしまえば感覚で絞り込めますので継続して頑張ってください。
・物件周辺の価格相場を確認
・市況感の把握
・エリアの将来性を分析
・現地調査
・家賃相場の把握
尚、紹介した分析方法の順番は前後しても構いませんが、物件購入前に一通り分析を行われることをお勧めします。
◆ヒント
余裕がある場合は、海外からの移住者や留学生の増減も把握した方が良いでしょう。
もし投資対象のエリアが思いつかないという方は、ひとまず地元で投資物件を探すことをお勧めします。人の流れや雰囲気が分かりますし、物件管理をご自身で行うこともできます(業務は増えますが、その分収支は良くなります)。
しかし、地元の将来性に不安がある場合は、セミナーに参加してみるのも良いかもしれません(営業マンの口車に乗せられない方限定)。ちなみに、セミナーを開いている販売業者は、90%サクラが潜んでいるので気を付けてください。
余談ですが、ターゲットの物件が事故物件かどうか調べることもできます。投資物件周辺に心理的瑕疵がないか確認することも大事なことですので、調べて損はありません。大島てるというサイトが検索しやすいです。
具体的なアドバイスや個別シミュレーションはコチラにご連絡くださいませ。
セミプロとして投資するために
ここからは、不動産を購入するにあたって、より実践的な内容となっています。周りの投資家から頭一個抜き出るための方法として、全部で4つのテクニックをまとめました。
・物件を物理的に再生する方法
・一般市場にない物件の検討
・都市計画法を勘案した投資手法
・あえて収益性の悪い物件に投資する方法
これらの分析方法を順番にご紹介いたします。
◆物件を物理的に再生する
物件の収益性に納得がいかない場合、物件に手を加えることで収益性を向上させる方法があります。
恐らくですが、これまで物件を探している中で、立地は良いにも関わらず借主が付かない物件を見かけたことはあるのではないでしょうか。要因は様々ですが、ハードの部分に原因があるのでしたら工夫次第で収益向上が見込めます。物件の弱点を物理的に再生させるのです。
方法としては、まず借主がつかない原因を突き止めます。見た目のチープさ、設備の老朽化、狭さといった部分のいずれかだと思います。その原因をリフォームし解決するのです。問題は費用対効果ですので、リフォーム費用も勘案しながらシミュレーションする必要があります。貸し出せる賃料は大体予測がつくので、リフォームにお金を使っても満足できる利回りが出せるか確認をしてください。リフォーム費用を抑えるための方法として、自分でできる部分は自分で手を加える大家さんは沢山いますし、キッチンや洗面台といった設備を中古で用意される方もいます。業者に頼らなくてもできる部分、新品の必要がない部分はできる限り経費を抑えることで利益率を向上させてください。(業者の見積もりは複数取ってください。)
物件が狭い場合は、「事務所」や「店舗」として法人に貸し出す方法があります。この方法は、限られた立地の物件でないといけませんが周辺相場以上の家賃で契約できることもございますのでお勧めです(裏技は風俗事務所)。また、住居ではありませんので消費税も家賃にかけられますし、住居よりもオーナーに有利な契約を結べることが多々あります。ただ、集合住宅の場合は住宅以外の使用方法が可能なのか管理組合に打診し許可をもらう必要があるのがネックです。
他の方法としては、間取りを変更して民泊・シェアハウス・トランクルームなどにする方法もあります。
【応用】建築して投資する
建物を建てるために、土地を購入するところから投資をする方法です。都会で資金のある方は、この投資方法をされる方が多い印象です。良い建築会社と巡り会えれば、高い利回りも狙えますし、オーナー好みの物件を建てられます。建築作業の知識があれば作業員の良し悪しも判断できますので、覚えることが増えてしまいますが勉強するのも良いかもしれません。
私が販売業者に勤めていた時の話ですが、土地の仕入れと建築費を合わせてネット6%分の金額でマンションを用意し、サラリーマンに分譲する際はネット3.5%というのが会社の相場でした。一室3000万前後で販売しておりましたので、一室粗利で1000万ほどとなります。
◆一般市場にない物件の検討
不動産競売
通称競売といわれている制度です。債務者が返済できなくなってしまった場合、債権者の申し立てにより不動産を強制的に売却されるので、そこのオークションに参加するのです。
販売額は最初の基準価格から値上がることが多いものの、市場価格よりも割安に購入することができます。ただし、物件の内見はできませんしスケジュールや条件面で融資を組むのが難しくなっております。リスクとしては、競売はローン特約(融資が実行されない場合は契約を撤回できる制度)を付けられないことが挙げられます。他には、占有者が退去に応じるのか不明であることと、退去費用を必要とするのか否かといった個別的な内容がリスクでしょう。
競売情報はBITというサイトに載っています。
任意売却
また、競売の価格ほど割安にはならないとしても、市場価格より割安な任意売却という売り物件もあります。
仕組みとしては、債務者の支払いが一定期間滞ると一括返済を要求されますが、現実は返済できませんので、債務者は物件を売却し返済に充てようとします。それでも完済できないとき、残った残債分を他の借金としてもう一度背負う代わりに、不動産についている抵当権を解除することを交渉し許可された場合に任意売却となります。許可が下りなかった場合と、期間内に売却できなかった場合は競売へ進みます。
任意売却は競売と比べ、使用できるようになるまでの段取りを組みやすいことと、物件情報を多くもらえるということがメリットといえます。ただし、物件情報を集めるには金融機関などのネットワークが必要です。ですので、日頃から金融機関との付き合いを大事にされた方がメリットは大きいといえます。
銀行開拓の方法は別のコラムとさせていただきます。
公売
競売と似た購入方法に「公売」というものがあります。公売は、税金の滞納者が所有する不動産を差し押さえ、オークション形式で申し込みを募ります。税金の滞納に対するものなので、国が強制的に売りに出すということの他、保証金の額や物件の詳細が少ないといった所が競売と異なります。
国税庁の関連サイトに公売情報が載っています。
◆都市計画法を勘案した投資手法
土地には、都市計画法に基づき用途が決められています。エリアによって土地の使用方法に制限があるのです。例えば、病院の近くにキャバクラが入るようなビルが建設されてしまっては街の秩序が乱れてしまいます。ですので、都市を形成していくにあたって制限は必須となりますが、この制限は見直しされることもあります。今まで3階建ての建物しか建設できなかったエリアに「容積緩和」が適用されると、今までよりも大きく建築することができるようになります。つまり、建築物が大きくなると、貸し出せる床面積が増えるのでその分収益性が高くなるのです。人口が増えているエリアの中でも商業地域、近隣商業地域、工業地域、準工業地域といった自由度の高いエリアが容積を緩和される傾向にあります。また、使用用途についての規制が緩和された場合も収益性向上を見込めます。しかし逆に規制が厳しくなると収益性は落ちてしまいます。※容積率の規制が厳しくなり、既存の建物が容積率を超えた建物となると、既存不適格物件となります。その時点で収益性は落ちませんが、物件価格が下落し建て替え時には収益性も下落します。
ですので、これから発展が見込めるエリアの土地情報はチェックしてください。
【応用】立て直し物件を狙う
都心の街を歩くと、低層の建物が周りのビルに埋もれている光景をみることができますが、そういった物件を取得する投資方法もあります。立て直すことで、床面積を増やし収益性を引き上げるのです。新築であることも相まって以前の収益性を大きく上回ることができます。賃料の推移は(図6)でも見た通り、年数が経過するほど下落しますので、立て直しのタイミングを狙いあえて築50年を超えるような物件を中心に取得している不動産業者もあります。良いことづくしいなボロ物件ですが、狙っている不動産業者が多いので取得が難しいのがネックです。また、状況によっては住民を立ち退かせないといけない場合もありますので難易度は高いでしょう。
他には、取り壊しを計画しているような集合住宅で、修繕積立金1室分の金額が、売り物件の金額以上に溜まっていることも稀に存在します。物件選びの際、管理組合まで調べる方は少ないですが、僥倖に恵まれることもありますのでできる限り購入前に調べておきたい項目です。その際、使用細則もチェックされるのがお勧めです(特に専有部分の用途について)。確認のやり方は、管理会社に問い合わせて議事録と使用細則を見せてもらいます。不動産業者が間に入っているのでしたら、不動産業者に問い合わせても入手可能です。
◆あえて収益性の悪い物件に投資する方法
投資物件を探していると、相場より低い家賃で賃貸している物件も見かることでしょう。こういった物件の場合、借主が退去した後は相場の料金を設定できますので収益性が向上します。しかし、なかなか退去されないというのが実情ですが。そこで対処法として、立ち退きを要請する方法もありますが、立ち退き料を請求される可能性もありますので慎重に行動する必要があります。また、直接賃料交渉をすることもできますが、現段階では管理会社に家賃交渉の相談することをお勧めします。賃料交渉の流れは後々ご紹介します。
このような物件を購入する際は、なぜ家賃が低いのか確認することと、収益性が悪い分物件の値切り交渉を忘れないでください。家賃が低い理由を解決できない場合はリスクの方が高くなりますし、収益性が悪いにも関わらず物件価格が割安でない場合は検討するだけ時間の無駄です。
まとめ
いかがでしたしょうか。
ここまでで、
・物件を物理的に再生する方法
・一般市場にない物件の検討
・都市計画法を勘案した投資手法
・あえて収益性の悪い物件に投資する方法
についてまとめました。
既に実践している部分や、行う気になれない部分もあったかと思いますが、戦略的に実践されている不動産業者もありますので、うまく取り入れることで、これからの投資活動にお役立ちしていただければと思います。
さらに利益を狙えるテクニックは下記のコラムに掲載しております。
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